特急 さくら |
東海道本線の花形列車〔つばめ〕〔はと〕だけではまかないきれず、需要を補うべく 登場した臨時特急 さくら。1レ、3レとは違い展望車を持たない2・3等列車として 営業していたため目立たない存在でした。 後年は1レ寝台特急として東海道本線の花形として活躍しましたが昭和20年代では 〔つばめ〕〔はと〕の日陰となっておりその雄姿は写真として多くは残されていません。 |
臨時特急 さくら |
昭和30年3月19日 大阪駅 桝野様撮影 |
上記画像は4レ特急 はと が12:30 東京を目指し大阪を出発した3分後、 4レの後を追うように走る臨時特急 さくら の豪快な出発シーンです。 サクラ咲く春がすぐそこまでやってきている3月中旬過ぎ、春近しとはいえ まだ肌寒い空に真っ白な煙を上げ バッ バッ バッ と豪快なドラフト音を たてて目の前を過ぎていく特急 さくら。 このシーンを二人の青年がカメラを構え、東京へ向かう特急列車を見送って いました。 |
臨時特急 さくら |
昭和30年3月19日 大阪駅 桝野様撮影 |
このたびいつもお世話になっております たーサンさんより素晴らしいお写真を いただきました。これはたーサンさんの中学生以来のご友人の桝野様が撮影された ものです。 2枚のお写真は大阪駅を出発する臨時特急 さくら 、東海道型のC6236が 牽引している貴重なシーンです。 最初の画像は桝野様がお撮りになったお写真ですが、このすぐ隣でたーサンさんが 並んで撮影されています。 たーサンさんが撮影されたお写真はmo-yanさんのページに掲載されて いますので併せてご覧いただきたいと思います。 |
昭和30年3月19日 3004列車 臨時特急 さくら の編成表 |
C6236(宮) | スハフ42312 | スハフ42309 | スハ43611 | スハ43612 | スハ43613 | スハ43614 | マシ353 | スロ5419 | スロ5433 | スロ5434 | スハフ42310 |
使用された車両は特ロのスロ54以外はボックス席の3等車が中心のきわめて地味な編成です。 あくまでも繁忙期の補完という運用だったようですが、〔つばめ〕〔はと〕のスハ44を中心とした 編成とは明らかに格下の編成です。 |
特急さくら について調べていくうちに、桝野様とたーサンさんが撮影された 3月19日は記念すべき日ということが判明しました。 特急 さくら は記述によると昭和26年4月より運転されたとありますが、 なんと1ヶ月で運休となってしまい、実に4年ぶりに復活したとのことでした。 お二人は恐らくこの復活初日、勇んで大阪駅へ向かい興奮のうちに3004レを 撮影されたことでしょう。 |
昭和30年3月19日 3004レの編成表については鉄道ファン2005年7月号 〔やましなものがたり 7〕より 佐竹 晁氏が京都駅で見られた記録によるものを転記させていただきました。 桝野氏、たーサンさん、そして佐竹氏、実際に特急さくら の再出発を実際にご覧になられた方がどれだけ いらしたことでしょう。 ひょっとすると大阪駅でのお二方以外にもこの出発シーンを撮影されていた方が存在していたかもしれませんね。 |
さくらの最後尾を飾ったスハフ42 |
2005年12月 尾久車両センターにて |
特急 さくら は昭和33年10月のダイヤ改正で昼行特急より夜行寝台特急へ変身。 以後平成17年3月まで活躍し東海道線から姿を消しました。 いつの日か、あの美しい姿を再びこの目で見たいと願ってやみません。 |
2レ 寝台特急 さくら |
昭和42年7月 平塚 |
私にとっての特急 さくら |
私が特急 さくら に興味を持ったのは中学生になってからのこと、毎日東京へ上ってくる2レを 教室の窓から眺めたものでした。EF65の甲高い汽笛、何科の授業かは忘れましたが、そのときは 授業そっちのけで過ぎ行く列車を眺めていました。 多くのブルトレのなかでも特急 さくら は栄光の1列車。あさかぜ や はやぶさ等とは私の 中では別格の存在でした。 私が中学生だった昭和40年代前半より遡ること10数年前、桝野さんとたーサンさんが大阪駅で 見た特急 さくら、臨時特急とはいえC62が牽引するそのたくましい姿、この光景はこのお二方の瞼 に永遠に刻まれていることと思います。 |
保土ヶ谷駅通過中の2列車 | 出発間近の1列車 東京駅 |
桝野様 この度は貴重な画像を頂戴しまして誠に有難うございます。私がまだ2歳だった頃、 このようなたくましいC62の姿をご覧になられたお二方が非常にうらやましく思います。 このような貴重な画像がうずもれてしまうのは我々鉄道を愛するものにとって非常に残念な ことです。 歴史の中の貴重なシーンを一人でも多くの方に知っていただきたく、頂戴しました画像に勝手 ながら注釈を加えさせていただきました。 今後とも機会がございましたら歴史の一幕をご紹介させていただきたく思っております。 |